研究課題/領域番号 |
60030046
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研究種目 |
環境科学特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
国司 秀明 京都大学, 理, 教授 (40025234)
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研究期間 (年度) |
1985
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研究課題ステータス |
完了 (1985年度)
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配分額 *注記 |
10,500千円 (直接経費: 10,500千円)
1985年度: 10,500千円 (直接経費: 10,500千円)
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キーワード | 海洋開発 / 海域利用 / 海洋汚染 / 緩衝容量 / 滞留時間 / 海底高濁度層 / 富栄養化 |
研究概要 |
沿岸海域は外部からの衝撃(インパクト)を緩和する緩衝機能を持つ一つの系としてとらえることができる。この研究は、その機能の内部構造を究明し環境が望ましい状態に保たれる限界-緩衝容量-を明確にすることによって、海をいかにどこまで積極的に利用できるかについての科学的基礎を明らかにすることを目的としている。そのために、(1)流動班:物質輸送構造の把握とその表現(2)底層班:海底高濁度層の存在とその挙動(3)生物班:富栄養化に対する生物の緩衝作用とその限界の3つの小課題班を設け、瀬戸内海とくに大阪湾を具体的な研究対象として、その海域の物理から生物にいたる一つの系としての行動をとらえる計画をたて、豊潮丸(広大)による大阪湾・紀伊水道海況の共同観測(夏:冬)を中心に研究を展開した。その結果、本年度は各小課題班とも多くの素材的な成果を得たが、60年10月及び61年1月に行なった2回の検討会を通してとくに注目された成果を記すと次のようである。 (1)数年間の既往観測資料の解析から大阪湾と紀伊水道及び播磨灘との海水交換には著しい季節変動のあることが見出され、これが物理的な緩衝作用を最も強く規定していると考えられる。 (2)大阪湾での十数年に亘るT-P測定結果の各年の年平均値をとってみると、その値はその年数の間の負荷の増大にも関わらずほとんど一定で、これが生物による大きな緩衝作用を示すものと考えられる。 (3)恐らくそれに関連して、大阪湾の動物プランクトンの優占種は6種のカイアシ類であるが、陸上負荷の影響の大きい湾奥ほどより活動度の高い小型のカイアシ類の卓越していることが見出された。 (4)また、海底高濁層の存在は従来考えられていた夏季だけの現象ではなく程度は弱いが冬季にも存在するらしく、その一方、空間的には必ずしも一様に存在するのではないらしいことがわかってきた。
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