研究概要 |
重金属含有廃棄物を安全に自然界に還元することを目的とした化学的最終処理法に関して種々の新しい方法の可能性を検討し、昭和60年度の成果として以下の結果を得た。1.有害金属の低温ガラス化による処理:匕素とアンチモンの処理に関し、匕素はその金属アルコキシドを、またアンチモンはそのフェニル化合物をそれぞれSi【(OC_2H_5)_4】を用いてゲル化させる方法が有効であることが判った。2.重金属スラッジのポルトランドセメントへの包理:カドミウム,水銀,匕素を含む化合物を添加したセメントモルタルをさらにセメントペーストで2次包理し、12週間養生したところ、カドミウム,水銀,匕素の溶出量は1次包理に比べそれぞれ1/3,1/50,1/10に減少し、2次包理による長期安定化が可能であることが認められた。3.固溶限界の拡大による安定化処理:クロムイオンは【Mg^(2+)】と【Ba^(2+)】イオンを含むリン酸ガラスに混合カチオン効果を利用することによって【Cr_2】【O_3】として23モル%まで溶解度を上げることができた。アルカリ溶液におけるこのガラスからのクロムの溶出量は0.1PPm以下であり、クロムイオンを有効にガラス中に包理することができた。4.低温ガラス化手法による無害化処理:酢酸鉛とTi【(OC_3H_7)_4】を出発物質としてゾル-ゲル法によるPbO-Ti【O_2】系酸化物を作成した。PbOが60モル%までPb-Ti-O化合物ができPbOの固定が可能であった。5.有害物質の硫黄包理による無害化処理:匕酸カルシウムのように高PHで安定な化合物は硫黄包理よりセメント包理の方が有効であるが、酸性域で安定な匕酸水銀は硫黄包理が有利であった。6.有害重金属溶液の包理処理:Os【O_4】水溶液を Si【(OC_2H_5)_4】で瞬時ゲル化し、低融点ガラスと混合焼成することによってOs溶出率を0.2〜0.3%に下げ、400℃まで安定化できた。7.複合粉体形成による表面処理法の研究:酸化クロムをアルミニウム水溶液で処理することによりアルミナ被膜形成が可能であった。
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