研究概要 |
本年度は次の目標の下に研究を行った。 (1)豊平川河川流出形態変化の実態について把握。(2)豊平川の底泥中の金属分布。(3)札幌市の地域居住製備と都市化による人口動向の、時間的系列のシミュレーションモデル構築・同定の試み。(4)衰退・変貌しつつある緑地環境における指標生物の開発。 成果と考察 (1)河川流出形態変化の把握:豊平川河川流量を、石山観測所(1963年〜1985年)と東雁木観測所(1956年〜1985年)の日流量のデータを用い、流量差から流出特性の変化を調べた。この結果、両観測所間の流出形態が、1977年頃を境にして変化していることがわかった。しかし河川流出形態の変化に仂く原因については完全に把握出来なかった。 (2)豊平川底泥の重金属分布:豊平川全域に亘り河川底泥中のMn,Zn,Pb,Cu,Cr,Cdについて定量分析の結果(年4回観測平均値)、各地点における測定値の平均濃度範囲及び最高濃度を示した地点は次のようであった(単位はμg/g,かっこ内の数字は豊平ダムを起点とし下流方向への距離)。Mn;390〜825(25Km),Zn;90〜205(25),Pb;16〜31(7),Cu;14.5〜31(40),Cr;16〜42.5(35),Cd;0.05〜0.27(40)。 (3)都市化過程再現のsimulation model:simulation modelは予め3つのsubsectorを設け、simulationはsystem dynamics 手法によった。得られた結果からデータが乏しい要素、あるいは見出し難い要素間の因果関係による発堀・再現が可能となり、ことに氾濫などの水要因による災害影響の推定・予測面から、その実用性が期待された。 (4)指標生物の開発:貧緑環境から自然林まで環境状態を異にする札幌市内5ヵ所に於て植生と訪花性ハナバチの関係を捉え、ハナバチ類の指標生物としての評価を行った結果、訪花性ハナバチ類に都市化過程を反映する指標生物としての有効性を期待出来る事が判明した。
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