研究課題/領域番号 |
60035032
|
研究種目 |
環境科学特別研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
宗宮 功 京都大学, 工, 教授 (60025947)
|
研究期間 (年度) |
1985
|
研究課題ステータス |
完了 (1985年度)
|
配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1985年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
|
キーワード | 分解 / 回帰 / 栄養塩類 / 富栄養化 / 植物プランクトン / 動物プランクトン / バクテリア / 季節変化 |
研究概要 |
本研究は、富栄養化水において、バクテリア・植物プランクトン・動物プランクトンの3微生物群各々が有機物分解過程に及ぼす基本的な効果を明らかにすることを目的としている。本年度は前年度の研究成果を踏まえ、実際の湖沼での分解過程に強く関連する因子の影響を検討した。検討した因子は、【◯!1】非生物性有機物の質的差異、【◯!2】植物プランクトンの生物種、【◯!3】水温の効果である。 まず水中の生物種構成がバクテリアのみでかつ有機物の質が異なる多くの試料を用いて、非生物性有機物の質的な差によるバクテリアの摂取速度の影響を検討した。その結果、試料によって有機物の分解速度は大きく異なるが、それは試料中の易分解な成分と難分解な成分との割合の差によるもので、一連の実験を通じて両成分の減少速度定数は、各々0.4〜0.8、0.003〜0.006 1/日程度と比較的一定していることが示された。植物プランクトンの生物種ごとの自己分解速度は、生物種混合系中の個体数変化および単一種を用いた分解実験より求め、スタウラストウムのように分解しやすい種からメロシラのように分解しにくい種まで、藻類種によって大きく異なることが示された。しかし、通常の湖水の植物プランクトンの平均分解速度をクロロフィルaより求めると、同一水温では生物種構成が異なってもその分解(減少)速度定数は0.02〜0.03 1/日程度の範囲に存在した。植物プランクトン全体の挙動はクロロフィルaなどの総括指標でも近似的には可能であることがわかった。さらにこの生物種同様、有機物の季節変化に大きく影響する温度の効果を実験により検討した。水温は内在する3微生物群それぞれの活動に大きく影響し、その効果は各種の水質指標の減少速度定数に対し指数形(K=【K_(20)】【Θ^(t-20)】)で表記できた(10〜30℃)。Θの値は約1.05〜1.10の範囲である。ただし、リンでは低温時の無機化回帰過程で顕著な時間遅れが観察されるなど、その挙動が他の有機物指標と異なっていた。
|