研究概要 |
畑地土壌を充填した4個の土壌カラム(内径9.5cm,土層厚さ6cm,実験条件;不飽和浸透,不飽和浸透・強制通気,湛水浸透,不飽和蒸留水浸透)を用いた人工汚水(二次処理相当水)浸透実験(散水負荷100mm/day)、畑地土壌抽出微生物の嫌気及び好気条件の種々の組み合わせ条件下での液状培養実験、並びに砂質土壌を充填した不飽和及び湛水土壌カラムを直列に連結した3系統の装置(各カラム;内径100mm,充填高さ600mm,散水負荷;5,10,20cm/day)を用いた人工汚水(二次処理相当水)浸透実験により、水質改善能に関与する土壌微生物量の指標の確立及び汚水浄化機構の解明に関する研究を試みており、以下のような知見をえた。 1. 畑地土壌カラム実験:いずれのカラムでもTOCは85%程度と良好な除去が示され、他栄養性細菌数は5×【10^7】個/gr乾土程度となった。窒素に関しては、強制通気系以外では50%程度の減少率が示され、不飽和カラムでは硝酸態で、また湛水カラムではアンモニア態で浸出した。 2. 抽出微生物の液状培養実験:いずれの系でも他栄養性細菌数は【10_7】個/mlのオーダに増加し、嫌気一好気培養系での好気条件下での基質除去速度定数は、【10^(-3)】(1/hr・mg VSS)のオーダであった。酸素消費速度は、基質除去速度や微生物量との間で相関のあることが示された。 3. 砂質土壌充填不飽和・湛水直列カラム実験:各カラム表層土壌中のアンモニア酸化菌は【10^4】個/g乾土のオーダになり、また脱窒菌は不飽和カラムで【10^2】〜【10^4】個/g乾土、湛水カラムで【10^5】個/g乾土程度となった。散水負荷20cm/日では不飽和カラムからの浸出窒素はほとんどがアンモニア態であり、また湛水カラムでの脱窒作用の円滑な進行のためには、本実験条件下では5cm/日程度の散水負荷が適切であることが示された。TOCは、10mg/lの濃度で与えたが、いずれの系でも不飽和カラムでほぼ全量が減少した。
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