研究概要 |
今年度は5つの課題について研究を行い、次のような成果を得た。 1)児島湖流域における汚濁物質の発性特性 児島湖流域を11のブロックに分割し、生活排水、工場、水田、山林・その他及び畜産排水の原単位を基に、汚濁物質発生負荷量を算出した。COD9500Kg/day、T-N4750Kg/day、T-P530Kg/dayで、この内生活排水の占める割合は、それぞれ68%、60%、80%であった。 2)流入河川水及び湖水の汚濁ポテンシャル 児島湖における汚濁ポテンシャルの指標として、富栄養化の観点から、7、9、11月の3回AGP及び【AGP^M】試験を行った。試水に単独にNを添加した時、Pだけを添加した時よりもAGP祇は増加した。しかし、N,Pを同時に添加するとAGPの増加量はどの場合よりも著しかった。 3)農村地域における水質管理 児島湖に流入する笹ヶ瀬川の一支流足守川流域を対象として、簡易水質浄化法を導入することにより、汚濁負荷削減を計るセミクローズドシステムを考慮した水質管理システムを構想し、約50通りのシステムについて試算した。組合せによっては、20〜80%の負荷が削減された。 4)対話型モデルによる湖沼水質の予測 児島湖を3つのブロックに分割し、河川からの流入負荷量、流量、沈殿量、底泥からの溶出量を考慮したボックスモデルにより、パソコンとの対話形式で、パラメータを変化させながら、湖水水質を予測するモデルを作った。簡単なモデルで季節平均的な水質の予測ができた。 5)水生植物を用いた、湖水からのN,P除去能 児島湖の一部を水質緩衝池として利用し、ここに水生植物ホテイアオイを栽培することによって、N,Pの除去を計ろうとする考えである。児島湖水面の1%を利用することによって、4月から10月末までの間に、Nを年間2100Kg、Pを3700Kg除去できることがわかった。
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