研究概要 |
1.光化学系【I】および【II】の反応中心と酸素発生に関与している膜表在性のポリペプチド構成を明らかにし、それらのアミノ酸配列についての研究が進んだ。その結果、マンガン,【Cl^-】,【Ca^(2+)】などの結合部位と水の酸化系における機能についての理解が深まった。また、光化学反応中心【II】および細菌の光化学反応中心の還元側で第一、第二の電子受容体として機能しているキノンの状態と反応についての研究が進んだ。(佐藤公行、加藤栄、村田紀夫、西村光雄) 2.光合成膜のエネルギー化機構とATP生産について反応の微環境や反応に関与する分子の相互関係などを解析することによって、エネルギー変換と電場の形成と消失、【H^+】の輸送などと局部的な反応環境の変化との関係や、それらによる反応の制御を明らかにした。(伊藤繁、西村光雄) 3.【C_4】植物の光合成による有機物合成における物理的および生化学的な律速条件を解析し、高いエネルギー効率での物質合成の最適化のための検討をおこなった。(臼田秀明) 4.光合成電子伝達系に依存する水素発生系の開発と光合成を利用した光電池の開発のための基礎研究として、NAD(P)H-メチルビオロゲン還元酵素3種の精製と物理化学的・酵素化学的性質の解明と、ヒドロゲナーゼの構造解析がおこなわれた。また、人工的光水素発生系の構築の検討がされた。(堀尾武一、八木達彦) 5.光エネルギー変換系としてのラン藻機能の利用として、光エネルギー変換系と共役したグルタチオンの生産などが高い効率で進むことが示された。細胞工学、遺伝子工学的な面からの検討とともにphotobioreactorの開発が進められつつある。(落合英夫)
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