地熱発電においては、操業に伴って坑井や地上配管類の内壁に各種のスケールが付着し、種々の障害を引き起すことが問題になっている。本研究では、高速水噴流によるスケール除去法を確立するために、地熱スケールとともに岩石類を対象とした空気中および水中の切削試験を行った。得られた主な結果を要約すると以下の通りである。 1.岩石類に対する空気中での直線切削試験:まず、5種の岩石類に対して、切削深さに及ぼす吐出圧力と送り速度の影響を調べた結果切削深さは、吐出圧力Pと限界吐出圧力Pcの差に比例し、また送り速度Vとべき乗関係にあることがわかった。次に、熔結凝灰岩に対して、ノズル径DとスタンドオフディスタンスLの切削深さに及ぼす影響を調べた結果、切削深さはこれらとほぼべき乗関係にあることから、結局、切削深さんに関する実験式として(1)式を得た。 h=【KL^(-α)】【D^β】【V^(-η)】(P-Pc) (1) 2.熔結凝灰岩に対する水中での直線切削試験:熔結凝灰岩試料の切削深さに及ぼす吐出圧力と送り速度の影響を調べたところ、水中では空気中に比して、(1)限界吐出圧力が約40%増加する。(2)切削深さに及ぼす送り速度の影響が大きいなどの特徴が明らかになるとともに、低い送り速度では空気中よりも水中の方が大きな切削深さが得られ、最大で約1.5倍にも達することがわかった。 3.シリカスケールの除去に関する基礎試験:試料として大沼発電所の熱水輸送管内壁に付着した厚さ20〜30mmのシリカスケールを用い、水中での直線切削試験と試作した回転型ノズル装置による回転切削試験を行った。水中での直線切削試験では、スタンドオフディスタンスを大きくかつ吐出圧力を大きくすれば、広い範囲のスケールが除去できることが、また、回転切削試験では、吐出圧力を400Kg/【cm^2】以上にすればシリカスケールが除去できることが明らかになった。
|