研究概要 |
集雪冷房システムの開発を目指して、長岡市を対象に第一次のフィージビリティスタディを完成した。16k【m^2】、28700戸を対象に設計されたこのシステムは、十分な排雪と冷房の能力を有し、技術的にも実現可能とみられた。しかし、コストが下水道より高く、高効率輸送、低コスト断熱覆いなど、コストの低減をもたらす新技術の開発が重要なことが分った。 さらに、このシステムを作る要素技術の開発では、つぎの成果を得た。(1)エルボにおいて、高濃度の雪水二相流は柱肬流れとなるが閉塞はみられない。そして、エルボの圧力損失は、雪の濃度の影響をあまり受けず、清水の場合に近い。特にフルード数100以上で清水の値とほぼ等しくなる。管に絞り部を設けると閉塞が観測され、その限界流速は、新雪の場合、氷の粒の浮上の計算流速の約半分、ざらめ雪ではそのまた半分の値となった。玉型弁では1.5m/s以上の流速とすることで、閉塞を避けることができた。(2)雪を管路に入れる押込機の雪水攪拌羽根は、らせん,パドル,タービンの順で、雪混合の限界固相率が高く、動力が低い。混合速度は、パドル,タービン,らせん羽根の順に大きい。全体としてパドルが推奨された。(3)雪水二相流中の雪の固相率を計測して制御するために、まず管内固相率の測定法として、鉛直管内の圧力損失を測定する方法が、フルード数で5から35に入るように管径を選ぶと有効なことが分った。しかし、この方法は測定器が大げさとなるため、より簡便な別法の開発が望まれる。(4)貯雪池の新らしい断熱法として、雪面を泡で覆う方法を野外テストし、低コスト断熱法として有望なことが分った。(5)貯雪池における雪の分散挙動を知るため、ビーズによる拡散の模擬実験と解析を行い、比較的良好な一致をみた。しかし、雪については、まだ成果が得られていない。
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