研究概要 |
熱エネルギを効率良く利用するために常温域から高温域まで同一の方法で伝熱促進が行えれば有効である。その方法の1つとして通気性固体を常温域では乱れ促進体として用い、高温域では輻射遮蔽板として使用すれば広い温度領域の伝熱促進が期待できる。 平行平板流路上壁に通気性乱れ促進体(コージライトとアルミナのブレンドタイプ、空隙率87%)を設置し、流体として空気を用いて、下面の平滑伝熱面への伝熱特性に与える影響を層流から乱流域で求めた。局所熱伝達,平均熱伝達,輻射の影響について整理した。 (1)局所熱伝達:層流域における流れ方向の分布の特徴は定性的に乱流の場合と同様である。最初の突起の上流側より上昇し、突起の真下で極大値をとり、減少し極小値をとった後増大し発達した値に漸近する。発達後、突起に対応した周期性がみられるが、通気性のためソリッドタイプ程、明確でない。 (2)平均熱伝達:ほぼ発達した1ピッチ間の局所熱伝達係数を平均したNumと各パラメータ(レイノルズ数,プラントル数,空孔径d,通気性乱れ促進体の厚さt)間の関係を実験的に整理した。平滑流路の発達した熱伝達との改善割合はReと共に増大し、さらにそれを極大にする通気性乱れ促進体の厚さが存在するようである。 (3)輻射の影響が現れる温度域における伝熱促進:流体としての空気は本実験の温度領域では非輻射気体として扱われる。伝熱面温度が上昇するにつれ伝熱面と相対した面に設置された通気性乱れ促進体による輻射熱の遮蔽と吸収により促進体先端付近の流体の温度上昇と、下流側面付近の温度降下が現われる。通気性固体の輻射率を0.5として試算すると輻射支配域では通気性乱れ促進体の最適厚さの存在が不明確になる。しかし通気性乱れ促進体は広温度範囲の伝熱促進に有効である事が実験的に明らかになった。
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