研究概要 |
(1)残留炭素から合成されたフッ化グラファイト:(【C_2】F)nおよび酸化グラファイトの熱分解より得られる残留炭素はそれぞれ4%,20%のフッ素酸素を含んでおり、後者は400℃,500℃,600℃における熱処理により酸素含有量は12.11,6wt%へと減少した。このようにして得られた残留炭素の結晶子の大きさは従来の天然グラファイトや石油コークスのような炭素材と異なりC軸方向が小さく(Lc=46〜140A)a軸方向のサイズが大きい(La=280〜440A)扁平状のものであった。これは共有結合性層間化合物の異方的熱分解に帰せられる。残留炭素は従来の炭素材に比べて低温かつ短時間でフッ素化され、ほとんどの場合(CF)nを生成する。400〜500℃で得られた(CF)nのC軸方向の周期距離α(002),回折ピークの半価幅β(002)は天然グラファイトより直接フッ素化によって合成された(CF)nの値よりいずれも大きく、(CF)n層間の隙間が大きく、結晶子の厚みが小さいことを示す。 (2)残留炭素から合成された(CF)nの放電特性:400〜450℃で残留炭素から合成された(CF)nは従来の(【C_2】F)nより放電電位は幾分高く、フッ素の利用率は100%、またエネルギー密度は(CF)n,(【C_2】F)nより20〜30%大きな値であった。OCV,CCVともに従来の(【C_2】F)nに近いかあるいは大きく、過電圧は(【C_2】F)nのそれに近い祇であった。従来の(CF)nより過電圧が0.37Vほど減少しているが、これは結晶子の厚みLCの減少と格子欠陥の存在によって【Li^+】イオンの拡散と放電生成物の分解が容易になったためと考えられる。400℃未満で得られたフッ化グラファイトは放電電位は高いが、電位平担性、フッ素の利用率は上記の(CF)nより悪く、また600℃で合成した(CF)nは従来の(CF)nとほとんど同じ挙動を示した。みかけの電流密度5×【10^(-6)】〜5×【10^(-3)】A【cm^(-2)】では残留炭素からの(CF)nの電位は従来の(【C_2】F)nより0.2V,(CF)nより0.5V高い。
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