研究概要 |
石炭微粒末分散系スラリーの調製にあたり、石炭化度の異なる各種石炭の表面化学構造の解明、表面構造の異なる各種石炭の無極性液体ならびに極性液体中における分散安定化、界面活性剤添加効果等をコロイドおよび界面化学的見地から検討した。 (1)各種石炭(ヤルン,天北,太平洋)のメタノール抽出量は、石炭化度の増加に伴い減少した。また、いずれの石炭の場合も、その成分は脂肪族成分(水可溶分,フミン酸,フミン)に富み、かつ、それはかなりの界面活性を示した。(2)各種石炭(ヤルン,天北,太平洋,三池,ホンゲイ)表面には、酸性官能基(カルボキシル基,ラクトン,フェノール性水酸基)が存在し、それは石炭化度の増加に伴い減少した。(3)極性液体(水,アルコール)中における湿潤熱および膨潤率は、石炭化度の増加に伴い減少した。また、それらはいずれの石炭の場合も、アルコールの炭素数の増加あるいはアルキル基の大きさに依存した。一方、無極性液体中における場合、両者とも石炭化度にほとんど依存しなかった。特に、低石炭化度炭の場合、メタノールはかさ高いアルコール,水,および無極性液体より石炭内部へかなり浸透し、かつ石炭を膨潤させ、多量の湿潤熱を発生させた。(4)無極性液体(ベンゼン,テトラリン)に種々のアルコールを添加した系では、いずれの石炭の場合もその膨潤率は著しく増加し、その効果はメタノールを用いた場合が最も大であった。(5)各種石炭の水中におけるゼータ電位は、ヤルン炭が約-60mV,太平洋炭が約-20mV,ホンゲイ炭が約-10mVであった。また、石炭微粉末水スラリーのpHも石炭の種類に依存した。(6)各種界面活性剤の石炭表面への吸着は、石炭の種類によって異なり、カチオン系界面活性剤がヤルン炭、ノニオン系界面活性剤が太平洋炭、ホンゲイ炭に最も吸着した。(7)石炭の分散安定性は、カチオン系界面活性剤を除いて、その濃度増加に伴い増加した。
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