研究概要 |
本研究は米国ローレンスリバモア国立研究所の回転ターゲット強力核融合中性子源RTNS-【II】を用いた5ヶ年計画の研究の一主要部分である。東北大学金属材料研究所附属材料試験炉利用施設(大洗)に特設された高分解能電子顕微鏡と各種微小試験片機械試験装置を用いて実験研究を進めてきたもので、昭和60年度中に14人の研究者が延34回,延198日間同施設に赴き出張実験を行った。この内全体の50%が電子顕微鏡による構造変化の観察、30%が機械的性質変化測定、20%が米国よりの返送試料の分類整理にあてられた。 昭和59年末に開催された第一回核融合炉材料国際会議での報告は独立した8編の論文として本年度中にJournal of Nuclear Mate-rialsに印刷出版された。また昭和61年度初頭に開催される第2回核融合炉材料国際会議には19編の論文の発表が予定されている。公表論文の内容は多岐にわたるためキーワード的に列挙する。 D-T核融合中性子照射によって発生する構造欠陥の種類と量をきめる要因の分析、カスケード損傷後の点欠陥過程を明らかにする低温照射低温観察の実行、高温照射によるカスケード損傷からのボイドの直接発生の確認、繰り返し照射による欠陥構造発達の追跡、サブカスケードからの欠陥発生の臨界値の検討、イオン照射との厳格な比較による臨界PKAエネルギーの決定、He発生の効果と核変換生成物の効果の検討、フェライト鋼における異相間での損傷効果の差異の存在の確認、損傷欠陥の熱的安定性からの照射損傷欠陥の同定、陽電子消滅測定からの極微細空孔型欠陥形成の役割の解析、多種の材料に関する機械的性質変化と微視的欠陥構造変化の相関の実験と解析、であり個々に詳細に機械的強度的性質の変化が検討された材料としてはFe,V,Al合金,Mo,オーステナイト系ステンレス鋼,フェライト・マルテンサイト鋼およびSiC/Al系複合材料があげられる。
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