研究概要 |
核融合炉に用いられる大型の高磁界超電導マグネットに於ては、使用されている線材に巨大な電磁力(ローレンツカ)がかかる。従って超電導導体の複合強化が必要不可必である。また現在高磁界用として最も有望視されている【Nb_3】Sn導体には歪に弱に性質(ストレス効果)がある。複合強化した【Nb_3】Sn極細多芯導体のストレス効果はどの様になるか、更には導体の複合強化と同時に、マグネットが最大磁場を発生した最大歪下で導体が最大の臨界電流値(Ic)を持つ様にストレス効果を制御できないものであろうか?一方ストレス効果の無い(又は少ない)超高磁界用先進超電導線材の開発研究も又、必須の研究課題であると思われる。 前年度に引き続いてSusとMo線を用いて内部複合強化した【Nb_3】Sn極細多芯線材の強度とIcの引張り並びに曲げ歪依存性について測定研究した。その結果3本のMo又はSus線を用いて【Nb_3】Sn極細多芯線を複合強化してやることにより、0.2%耐力にして最大22Kg/【mm^2】迄補強することができる事が確認された。又MoとSus線の割合を変えることにより【Nb_3】Snに加わるprecompressionの量を0から1.0%迄変化させ得ること、即ち線材に加わる最大歪下で最大のIcをもつ様にストレス効果を制御し得ることがわかった。しかしながらMo線は硬くて脆く、加工性に乏しい為、補強線材の長尺化は非常に難しいことが判明した。現在ステンレス線のみを用いた長尺の内部複合強化線材を開発する研究を急いでいる。 【Nb_3】Alは【Nb_3】Snよりも優れた超電導特性(Tc,【H_(c2)】)を持ち且つ歪によるIc,【H_(c2)】,Tcの劣化が非常に少ない事がわかっている。しかしながら、その実用化が遅れていた。最近我々は粉末冶金法(P/M法)によりかなり良い特性をもつP/M法・長尺・【Nb_3】Al線材の開発に成功した。Al濃度、減面加工率、熱処理条件等の最適化により、20Tで【10^4】A/【cm^2】以上のJcをもつ超高磁界発生用線材として実用化し得るものと思われる。
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