研究課題/領域番号 |
60055012
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研究種目 |
エネルギー特別研究(核融合)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山脇 道夫 東京大学, 工, 助教授 (30011076)
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研究期間 (年度) |
1985
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研究課題ステータス |
完了 (1985年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1985年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | プラズマ駆動水素透過 / 第一壁材料 / ニッケル / sus304 / ガス駆動水素透過 / バナジウム / 表面不純物 / 表面偏析硫黄 / オージェ電子分光 / 水素吸脱着モデル |
研究概要 |
第一壁におけるプラズマ駆動水素透過に対する材料表面状態の影響を明らかにすることを目的とし、本年度は、Ni,sus304に対する重水素注入透過実験と、Vに対する分子状水素透過速度の温度・圧力依存性測定を行なった。いずれの場合も、その場的なオージェ電子分光法により試料上流表面組成を調べ、表面状態と透過挙動とを詳しく対応付けた。注入実験においては、500℃に加熱した試料に3KVの加速電圧で【D(^+_2)】を打込んだ。この際、【Ar^+】によるスパッタ洗浄と試料のアニールとにより、あらかじめ試料表面組成を制御した。その結果、プラズマ駆動水素透過に特徴的なスパイクの発生機構は、イオン注入側表面の不純物付着による水素再結合定数の変化に帰し得ることがわかった。また、不純物による水素再結合放出挙動への影響は、表面分析の結果より、バルク材と不純物原子の組合せに強く依存することが確認された。即ち、Niの場合には硫黄が、sus304の場合には酸素の効果が支配的であると結論された。このように個々の富純物原子を特定し、その注入イオン駆動水素透過への影響をバルク材と関連付けて明らかにした研究はこれがはじめてであり、本研究の大きな成果と言えよう。 一方、分子ガス状水素の透過に関しては、昨年度に引続き、バナジウム試料を用い、表面に偏した硫黄の効果を調べた。表面にはほとんど硫黄のない場合と、硫黄の飽和した場合の2種の表面状態で、温度および圧力依存性を測定した結果、いずれの状態においても、温度・圧力依存性にはほとんど差はなく、透過速度の絶対値のみが硫黄の偏析により低下することがわかった。この結果より、硫黄の効果は、表面上のサイト占有による水素吸脱着確率の減少にあると結論した。またこの観点から、硫黄の表面構造を考慮して、水素吸脱着阻害のモデル化を行ない実測データと比較したところ、このモデルにより実験結果を合理的に解釈できることがわかった。
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