配分額 *注記 |
180,000千円 (直接経費: 180,000千円)
1987年度: 21,000千円 (直接経費: 21,000千円)
1986年度: 62,000千円 (直接経費: 62,000千円)
1985年度: 97,000千円 (直接経費: 97,000千円)
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研究概要 |
タンパク質合成システムにおける転移リボ核酸(tRNA)とアミノアシルtRNA合成酵素(ARS)などの動的構造と機能制御を, 核磁気共鳴などの物理化学の手法および生化学・分子生物学の手法を駆使して, 解析した. (1)大腸菌のイソロイシルtRNA合成酵素に結合したイソロイシンおよびアナログのコンホメーションを解析して, ARSによるアミノ酸の識別機構を分子構造のレベルで解明した. (2)高度好熱菌のグルタミルtRNA合成酵素について, グルタミン酸tRNAとの複合体形成における, 高次構造の多段階相互適応によって, 機能部位が形成されることを明らかにした. (3)tRNAのアンチコドン1字目のヌクレオシドのコンホメーション特性が転写後修飾によって転換され, それにより, コドン認識機能が制御されていることを見いだした. (4)大腸菌のマイナーなイソロイシンtRNAのアンチコドン1字目の修飾ヌクレオシド(ライシジン)の化学構造を決定し, シチジンからライシジンへの転写後修飾により, tRNAのアミノ酸特異性がメチオニンからイソロイシンに転換していることを発見した(ミトコンドリアにおけるコドンAUAの可変性に関連). (5)高度好熱菌と高度好熱性好酸性細菌のタンパク質合成システムの特性を解明し, 多くのポリアミンの化学構造を決定し, 分岐したポリアミンを見いだした. (6)ヒトデのミトコンドリアDNAの塩基配列を解析し, 遺伝子構成における特徴を見いだし, 天然のタンパク質合成システムの人為的改変をデザインするのに重要な知見を得た. (7)ヒト上皮成長因子のメチオニン残基を, 非天然型アミノ酸であるノルロイシンに置換したタンパク質(超タンパク質)を大腸菌に生合成させて調製することに成功した. 超タンパク質に組み込むことができ, 利用価値のある非天然型アミノ酸を数種選別した. これは, タンパク質工学へ新たな展開をもたらすものである.
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