研究概要 |
1.本特定研究領域では量子固体,量子流体,電子系凝縮相,超低温技術の4班に分れて研究を進めているが、本年度は最終年度にあたるので"合同研究会"を6日間にわたって開催した。その概要はニュースとして関係者に配布した。また理論研究グループは小規模な研究会を2回開催して現在の問題点を議論した。本特定研究領域の今年度の成果は報告書に括めて広く一般に配布した。 2.本特定研究領域では5ヶ所に研究ステーションを設けているが、それぞれ分担した超低温技術と設備を充実し、協同研究を実施した。 3.bcc【^3He】について、より高密度まで磁化測定を行いスケーリング則の破れが見出され、また磁場中比熱測定から磁気相図を決定し理論的検討が行われた。更に磁気相互作用によってuudd相の隣接磁区へのエネルギー伝達は殆んど行われないことが理論的に示された。 4.超流動【^3He】B相については、層状細隙中のNMRから【→!n】ソリトンの存在や自由誘導減衰の周波数変化が見出され、サイズ効果の実験からコヒーレンス長やその圧力依存性が決定された。He【II】では高速流領域における熱流体力学的振舞やラマンスペクトルの圧力依存性が精密に測定された。また一次元一二次元的微小細隙中への吸着Heの特異な量子効果が種々の方法で調べられた。更に液体【^3He】への【^4He】の溶解度は超低温域で從来の予想以上に大きい可能性が示された。 5.q【|!_】Hに近い場合のBiの超音波巨大量子減衰で温度変化の極大は正孔單独ピークでも起ることを見出した。中性子照射を行ったSiPを燒鈍する過程で金属・非金属転移に対する補償の効果が調べられた。またAlとAuでアハラノフ・ボーム効果の検出に成功した。 6.超低温のSnとAl微粒子について低磁場下で異常に速い核スピン緩和が見出され、その原因を究明した。また【Cs_3】Co【Cl_5】について見出されたパルス磁場による負磁化状態の研究を更に進展させた。
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