研究概要 |
本特定研究は第3年次の研究計画を達成するために総括班と課題研究班5班をおいた。総括班は、この課題研究の総括をはかり、研究全体を掌握指揮して有機的かつ強力な研究を推進させることを目的としている。この総括班のなかに研究成果の評価と研究計画実施の大網に対する助言を求めるため、関連分野の学識経験者13名による評価班も設けた。昭和60年度の本特定研究実施運営方針を決めるため、総括班・評価班会議を昭和60年6月7日竹橋会館(東京)で開き、主に合同班会議、各班会議及び公開シンポジウムの内容について審議し、有益な助言を得た。また、総括班研究費の使用方針についても討議した。その企画通りに、合同班会議を昭和60年10月4日から6日までの2泊3日間、富士教育研修所(静岡県裾野市)で開き、班員相互の知識情報交換と研究成果の一層の充実と発展をはかった。公開シンポジウム『生物トキシンと生体機能-医学生物学への応用』は昭和61年1月23日、野口記念会館講堂(東京)で、飯田広夫、小谷尚三が司会者となってシンポジウム抄録をもとに参加者、約150名が活発な討論をして盛会であった。総括班は生物トキシンのうち、蛋白質性トキシン(溶血毒素,ロイコシジン,エンテロトキシン,ボツリヌストキシン,ジフテリアトキシン,破傷風トキシン)および化学合成エンドトキシンやコードファクターの量産を班員に依頼し、それに消耗品費をあてた。作製された生物トキシン試料を班員に分譲して課題研究の集中的な発展をはかった。とくに、ロイコシジン、エンテロトキシン及びジフテリアトキシンは、その分子構造と標的細胞受容体の結合、活性情報の伝達機構を明らかにしたことや世界ではじめて化学合成に成功した (芝ら)エンドトキシン・リピドAの生物活性を多くの班員によって明らかにしたことは国際的にも高く評価されている。
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