研究概要 |
1)リピドAについて新たな成果を得た。サルモネラリピドAの構造が大腸菌に次いで合成的に確立された。大腸菌ではリピドAに結合する糖(KDO)の結合様式が明らかにされ、また変異株からリピドA生合成中間体のリピドX,Yが単離されその構造決定がなされた。これらりピドA類の種々の活性と構造相関の研究の結果、リピドAの菌種特異性、シュワルツマン活性構造の多様性、X,Yのマクロファージの抗腫瘍性活性上昇、IL-1産生誘導、TNF産生誘導能なども明らかにされた。この他MDP類縁物質も多数合成され感染防御活性等を指標にドラッグデザインが進められた。 2)蛋白毒素では蛇毒と関連の深いホスホリパーゼ【A_2】6種がウミヘビの毒液から単離されそのアミノ酸配列が決定され、更に毒性発現にかかわるアミノ酸及び分子構造に検討が加えられた。ヒマ種子毒蛋白質リシンでは毒性発現機構を膜透過機構の面から追求され、endocytic vesicle内におけるpHの低下による分子表面の疎水領域の出現が膜透過の第1歩と考えられた。大腸菌易熱性腸管毒素(ヒト型LTh,ブタ型LTp),コレラ毒素では遺伝子の塩基配列、アミノ酸配列が明らかにされ、これら3種の毒素のオペロン構造、サブユニット遺伝子の塩基配列、シグナルペプチド、【A_1】,【A_2】フラグメント等の詳細な比較検討がなされた。 3)低分子トキシンではペシロトキシンのエネルギー転換阻害作用、脱共役作用の2相性が示された。低分子耐熱性エンテロトキシン(ST)として新たにVibrio Choleraeの産生するSTの構造が解明され、合成アナログによる構造活性相関が検討された。ハチ毒マストパランでも種々の合成アナログを用い、ヒスタミン遊離、カルモジュリン活性抑制作用との構造活性相関が調べられた。Bufotoxin関連物質の構造活性相関の研究では抱合形式の差異およびステロイドA,C環の置換基が活性に大きく影響することが明らかとなった。
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