研究概要 |
本研究は酸化物や硫化物等、金属的性質を有する無機化合物を合成し、その特異な超伝導性の原因を探求し、超伝導研究の一分野を開拓しようとするものである。この目的に沿って行われた研究は以下の通りである。田中は酸化物超伝導体Ba【Pb_(1-x)】Bix【O_3】系について、超伝導体-半導体転移近傍組成の電子格子相互作用の強い極限での特異な物性を電子輸送現象,磁化率,光学測定により研究し、組成変化によるバンド構造の変化のモデルを提案した。また分子線蒸着法によりNb-Si多層膜超伝導体を作製し、【Hc_2】の測定を行い次元のクロスオーバー現象を観測した。庄野は高温プラズマ中の熱分解反応によりBa【Pb_(1-x)】Bix【O_3】の超微粉体を作製し、粒径と超伝導の関係を調べた。また250トンプレスにより8GPaまでの高温高圧下の超伝導物質合成に着手した。脇山はA15型【W_3】Reを下地とするエピタキシャル成長法によって非平衡準安定相のA15型【Nb_3】Siを生成した。また【CO_2】レーザー照射により界面に準安定ペロブスカイト型Nb-Si-O相の生成に成功した。三本木はTa【Se_3】の約2Kの転移領域で電圧-電流特性に電流の流れない領域の存在することを見出した。またZr【Te_3】の超伝導転移領域で抵抗転移,磁気転移曲線を結晶方位を変えて測定し、超伝導はフィラメンタリーなものであると結論した。竹内は半導体中の転移線に沿う一次元金属伝導の実現に関し、SmS結晶中の刃状転移の高圧部に金属相を一次元的に形成させる試みはほぼ成功した。村上はBa【Pb_(1-x)】Bix【O_3】の結晶構造と電気特性を調べた。結晶対称性は作製条件に依存し、x<0.9では正方または斜方晶形、x>0.9で単斜晶形となった。x>0.35では酸素欠陥が増加し抵抗の温度変化に影響を与える。作道は(Ba,Sr)(Pb,Bi)【O_3】,Ba(Pb,Bi,Sn)【O_3】,Ba(Pb,Bi,Sn)の各固溶体セラミックをホットプレス法により作製し、超伝導転移温度Tc,格子定数,電気伝導の温度特性,ホール効果はどの測定を行い、組成図にTcの等高線を描いた。
|