研究概要 |
当班は(1)武居、(2)関沢、(3)小松、(4)小松原、(5)北沢、(6)青木、(7)後藤で研究した。 (1)磁性超伝導体である希土類シェブレル化合物Ln【Mo_6】【S_8】の単結晶化に成功した。特にHo【Mo_6】【S_8】単結晶においては超伝導転移点1.6K、強磁性転移点0.6Kが初めて明瞭に観測され、単結晶試料では測定されないという定説を覆えした。これはHoの含量と直接関連する。 (2)Lu-Ir系について構造と超伝導の関係を調べた。Lu【Ir_2】とIrとの共晶合金は約3Kで超伝導状態となるが、焼鈍によりその状態は消失する。超伝導Lu【Ir_2】-【Ir_2】共晶体におけるLu【Ir_2】の格子はかなり縮んでおり、このことと超伝導性とはよい対応を示す。 (3)A15型【Nb_3】Sn単結晶を銅を溶剤とした溶液成長法で育成した。得られた単結晶(mmサイズ)の超伝導転移温度は銅の量に比例して上昇し(18.52→18.59)、他方、格子定数は減少する。 (4)稠密近藤効果を示すCe【Cu_6】,Ce【Al_3】,Ce【Cu_2】【Si_2】の単結晶を育成しその物性値を決定した。また固溶体系結晶Cex【La_(1-x)】【Cu_6】について不純物効果を調べた。その結果近藤温度はXに独立で3〜6Kであることがわかった。Ce【Cu_6】等では0.2〜0.7Kで近藤-バンド転移がある。 (5)有機金属気相分解装置を試作し、それによりAl-Si系及びV-Al系膜をサファイア基板上に作り、電気的性質を測定した。Al-Si系ではAl過剰側で2K以下に超伝導転移を持つものが見出された。V-Al系では金属一半導体転移が〜6Kで見出された。 (6)超伝導半導体PbTeの単結晶薄膜をBa【F_2】単結晶基板上に作成した。この膜についてX線回折、Al-【Al_2】【O_3】-PbTe多層膜によるトンネル効果等を用いて評価を行ない、結晶性、電子濃度等を決定した。 (7)熔融紡糸法によりPb-Bi-Su,Pb-Bi-In等の低融点合金細線を作り、その超伝導性と構造との関係を調べた。その結果Biとε相との共存状態が転移温度を1.5K以上上昇させることが判明した。
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