研究概要 |
本研究は下記3方向から進められている。 1.食品の劣変とその制御 食油中にはクロロフィル関連物質としてフェオフィチンが主成分として含まれ、光増感作用によって一重項酸素を生じ、脂質を酸化する。反応は蝋燭の明り程度で進行する。抗酸化剤として、サクラ類のリーフワックス中に没食子酸やケルセチンをアグリコンとする配糖体を単離した。凍結魚肉をpH5.9の緩衝液中で解凍するとメトミオグロビンの生成が最も少なく、急速冷凍と併用すると最良の結果が得られた。 2.変異原の防除 アミノカルボニル反応を酸性下で進めると変異原性を示すヒドロキシメチルフルフラールが生成し、ことにシュウ酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸などが促進した。32種のニトロアーレン類の変異原性をテストの結果7種のニトロピレン類がM45株に対して著明な阻止帯を示したが、野菜繊維類によって強く吸着されることが分かった。変異原性があるといわれるコレステロールエポキシドの定量法を確立し、噴霧乾燥卵中の含量を測定した。次いでベンツピレンのリポソーム内での脂質過酸化に伴う酸化を検討し、1,6-,3,6-,6,12-キノンを検出し、この酸化が抗酸化剤の添加により抑制されることを証明した。なほ高濃度のベンツピレンをリポソームに取り込ませた場合には弱い抗酸化力を示した。水溶性のラジカル生成剤AAPHをネズミに投与すると肝臓に脂質滴が出現し、あらゆる組織で細胞の壊死が起こるが、これは抗酸化剤の投与により防止される。 3.毒性因子の除去と安全検証 藻食性魚類、アオブダイ、ナンヨウブダイ、サザナミヤッコの肝臓にフグ毒(TTX)が検出されウモレオウギガニにも含まれることを証明し、それらの餌として共通の海草からTTXを検出、その起源が海草の表面に生育する細菌Alteromonas SPであることを立証した。
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