研究概要 |
第4班では神経系障害を呈する遺伝性代謝病の発症機構の解析を進めている。衛藤はKrabbe病のモデル動物であるTwitcherマウスを用いて酵素補充療法を試みた。岡田は種々のリピドーシス患者由来の培養皮膚線維芽細胞を用いて蓄積脂質と神経障害出現との関係について解析した。後藤はGM,gangliosidosisの培養皮膚線維芽細胞を用いてガラクトシルセラミドの分解系を検討し、Krabbe病でサイコシンが蓄積する病態を解析した。鈴木はGMガングリオシドーシスの表現型の差は酵素の質的な差によると考えられる結果を得た。武富はスフィンゴリピドーシスの神経障害の病因を分析する目的でリゾスフィンゴリピドの分析法を開発した。杉田は糖原病【II】型(成人型)のモデルとなる病態が認められた日本ウズラの発生期のリソソーム酵素調節等につき分析した。三木はcerebrotendinous xanthomatosisの生検肝のミトコンドリア内膜型cytochrome P-450電子伝達系の3成分のうちミトコンドリア型cytochrome P-450の欠損を免疫化学的に定量した。佐藤はミトコンドリア脳筋症の骨格筋ミトコンドリア内膜電子伝達系を酵素学的,免疫組織学的に分析した。多田はLeigh脳症とcytochrome c oxidase活性につき検討した。垂井はKearns-Sayre症候群に対するcoenzyme 【Q_(10)】の長期大量投与が有効なことを明らかにした。家族性アミロイドポリニューロパチーに対し、荒木は患者血清より異型プレアルブミン検出システムを開発し、前田は患者白血球のプレアルブミン遺伝子の分析を行ない発症前診断の可能性を示した。宮武は著明な日内変動を呈する異型高フェニルアラニン血症を示す成人例にdihydrobiopterin synthesisdefectの存在を明らかにした。御子柴は小脳ミュータントマウスであるstaggererの小脳にはプルキニエ細胞と顆粒細胞とのシナプス形成障害及び2次的な細胞変性が生じていることを示した。以上のように本年度も多数の輝しい成果が得られ次年度も期待される。
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