研究概要 |
本研究は最も付加価値の高い物質である医薬,農薬等の生理活性資源の開発を目標として、生物機能を範とした人工物質の創製と資源転換などへの応用、資源の効率的利用を行っている生物の機能そのものを利用した有用物質の生産及び検索を具体的戦略として掲げ行った。 1.生物機能を範とした触媒の創製 生体内で選択的、効率的な反応を行っている酵素の機能を範とした人工酵素の創製を目指し、古賀は種々のパラシクロファン類を合成し、芳香族基質、脂肪族基質それぞれの形、大きさ、不斉因子を識別するホスト分子の構築に成功した。広部はチトクロームP450機能を有する種々のモデル化合物をデザイン合成し、効率のよい人工代謝系の構築に成功した。 2.資源転換のための合成的利用法の確立 広部は生体内酸化反応をモデルにリグニン由来のエーテル類のO-脱アルキル化によるカテコールアミン類への転換、RNAからの核酸塩基切出し反応の可能性を示した。亀谷は安価なインドール類から一重項酸素を用いた生合成型合成法により制ガン剤カンプトテシンの合成に成功した。生越は生理活性海洋天然物を範とした含フッ素ピロール誘導体の一般的合成法を確立した。木村はフェノールペンダントを有する生体由来の大環状ポリアミン類を合成し生体機能との関連を示した。 3.酵素機能を用いた生理活性資源評価法の確立と有用物質検索 生理活性資源の簡便なスクリーニング法として酵素反応の利用を試みた。三川はシクロオキシゲナーゼ等の阻害活性を指標とし天然物中より数種の優れた生理活性物質の検索に成功した。野副はグルタミンシンテターゼ阻害活性を指標に担子菌のアミノ酸画分および合成グルタミン酸誘導体中より2,3の活性物質の検索に成功した。
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