研究概要 |
5.研究代表者:三雲昂;研究分担者:小牧研一郎.塩見直子.北原哲夫.北川盈雄 三雲らは、重イオンの固体薄膜通過後の荷電状態とその分布を測定するために、電磁分析系を設計・外注した。電磁石の分解能EM/【Z^2】=70°、最高磁場強度12KG、ビーム偏向角45°、曲率半径1000mmである。本年度中に、コイルを除いて、ビームコースに設置する。 研究の成果としては、【i】)61MeV【F^(6+)】イオンのC薄膜通過後の電荷分布、平均電荷、分布幅の衝突係数依存性をしらべた。これらの物理量が0°通過の場合に比して、有限角度に散乱された場合の方が大きいことが分った。【ii】)タンデムが加速器の電荷ストリッパーとして、従来用いて来たC膜と比較して、ある場合にはBe膜の方が適していることが分った。【iii】)【F^(6+)】イオンのC薄膜通過後のエネルギー損失及びそのゆらぎが、入射・出射荷数に依存することを確認した。 小牧らは、80-150MeVclイオンの、ビームフォイル分光を行い、N=5→N=4の遷移線を見出し、2s-2p遷移の寿命を測定した。一方、ドップラー同調吸収分光装置用のX線検出器系を作製した。 塩見らは、イオンに対する薄膜の阻止能の出射角依存性(幾何学的効果)の機構を系統的にしらべた。5MeV陽子に対して2.5°の出射角で、最大約3.5%の阻止能増加が見られた。 北原らは、180MeV【O^(7+,5+)】のターゲット薄膜通過後の、イオンのエネルギー、電荷状態及び角度分布の相関測定を行った。一方イオンの飛行時間測定装置を製作した。 北川らは、重イオン電荷状態の動的振舞と平衡電荷との関連性を明らかにするために、グリーン関数法により、局所的電子系に関する誘電関数を、高周波近似のもとで計算した。
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