研究概要 |
本研究は、共鳴励起の研究、偏極イオンの注入の研究、固体表面・界面の研究の3グループに分かれて進められた。 1.共鳴励起の研究では、高精度ゴニオメータおよびチェンバーを作製する一方、銀の(100)単結晶薄膜を作り、高速重イオンの透過チャネリング実験、共鳴励起による荷電変換に最も敏感と考えられるコンボイ電子スペクトルの測定を行った。また、表面チャネリングによる共鳴励起の研究では、単結晶表面で方位角を変えて小角散乱させたH,Heイオンの荷電分布を測定した。 2.偏極イオンを用いる研究では高速核スピン制御データ収録装置を完成し、これと手作りの装置を結合してバナジウム中の【^(12)N】が四面体位置を占めることを見出した。さらに、鉄中の【^(12)N】について測定中である。また、鉄中の原子番号56までの不純物について置換位置における超微細場、スピン格子緩和時間の計算を行い、さらに、原子番号10までの不純物について格子間位置も含めた安定位置・周辺原子の緩和等を求めるプログラムを作製している。 3.表面構造の研究では、チェンバーと回転台を作製し、Si(100)2×8構造が約1%の表面濃度のNiの付着により現れることを見出した。表面分析の研究では、反跳粒子検出による軽元素の定量法の感度・深度分解能を評価すると共に、チャネリング法によりTi,Zr中のDが、四面体位置を占めることを見出した。PIXE法による分析の研究では、波高分析器を購入し、不純物深度分布の標準試料を作成し、フーリェ法による深度分布の解析法の開発および検出感度の評価を行った。界面構造の研究では、MBE法で作ったGaas(100)面上のZnSeとZnSについて、チャネリング法により積層界面に格子緩和があることを見出した。
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