研究概要 |
本研究班の今年度の成果は次の通りである。大塚班員は新生ラットの摘出脊髓標本を用いてP物質拮抗物質[D-【Arg^1】,D-【Pro^2】,D-【Trp^(7.9)】,【Leu^(11)】]SPが時間経過の長い反射電位を抑制することを見いだした。竹内班員も同じ標本を用い、後根刺激あるいはSPの適用によりグルタミン酸の放出が増加することを報告した。金澤班員はニューロキニンAの脊髓内分布を調べ、後根および後角に高濃度存在することを見いだし、後根切断の効果についても報告した。藤原班員はウサぎ虹採括約筋に対するニューロキニンAの作用を検討し、電気刺激による収縮反応にこのペプチドが関与している可能性を示した。大賀班員はイヌにおいて交感神経刺激の胃運動に対する効果を検討し、ノルアドレナリンを節後線維から涸渇させると、非コリン性・非アドレナリン性持続性収縮が顕在化することを示した。松田班員はラット視索上核および室傍核に対するアドレナリン作動性支配を検討し、ノルアドレナリンおよびイソプロテレノール投与により抗利尿作用がみられることを報告した。矢内原班員はヘロデルミンのラジオイムノアッセイ系を確立し、このペプチドがヒト,ブタ,ラットの脳に存在することを示した。広部曼員はアンフェタミン類の生体内代謝産物と考えられる3メチル1,2,3,4テトラハイドロイソキノリンが脊髓反射電位を抑制することを見いだした。小林班員は含フッ素アミノ酸を組み込んだ生理活性物質合成のための前駆体5,5,5-トリフルオロロイシンの合成に成功した。亘曼員はCCK-8の立体構造を二次元スピンエコー相関′H-核磁気共鳴などを用いて明らかにし、疎水性の環境下で環状構造をとることを示した。
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