学術研究の高度化、多様化、国際化に伴なって、科学研究費補助金の果す役割は益々増大し、その運用についての研究者の要望も多様化し変化してゆくことは避けられない。したがって科学研究費の運用については、学術の流れや研究所の要望を勘案しながらその改善をはかり、有効適切に利用されるよう配慮しなければならない。そのためには、まず基礎資料として、各研究者の科学研究費に対する意見を適切にくみあげると共に利用の実態を調査し、現状の問題点を適確に把握することが重要である。そのため、昨年度に引き続き6つの班に別れて各班毎に2つないし3つの大学を訪問し、調査研究を行なった。具体的には、総合研究、一般研究、試験研究、奨励研究(A)の中から各大学毎に3〜4課題を抽出し、各課題の代表者に面接して、研究の進捗状況、研究実施上の問題点、研究成果、科学研究費補助金に対する要望その他について聴取すると共に、主な購入装置については研究室における実際の使用状況を調査した。また各大学毎に30名程度の研究者と懇談会を開き、科学研究費補助金の運用等について研究者から意見や要望をきくと共に率直な意見交換を行なった。このような調査を通して、科学研究費補助金に対する研究者の意見や要望を広くかつ適確に把握できたと考える。また科学研究費補助金の現状に関して研究者の理解を深める上で役立ったと考える。 次に各班から提出された報告と、調査対象課題の代表者から提出された資料を整理して問題点の一覧表を作成した。また昭和61年2月7日に全体会議を開き、主な問題点について内容の検討を行ない改善策について意見交換を行なった。
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