本研究は、地理学をはじめとする地域研究のための学術情報システムを作成することを目的とするが、初年度である本年度においては、(1)地理学術情報システムの概念設計、(2)文献データベースの設計、(3)文献データベースのためのシソーラスの作語、(4)地名データベースの設計と試作、(5)小地域情報作成方法の検討、(6)古気候データベースの作成などの研究を行なった。 地理学術情報システムは、文献、数値情報、画像情報、映像情報を統一的な方法で検索できる統合的なシステムであるが、システムを構成するデータベースの構造は多様であり、しかも各々の情報量は非常に大きいために従来のデータベースシステムとは異なった構造が要求される。データの格納方法、検索キーのつけかた、データベース相互間の関連付けの方法、異種データベースの検索方法の統合化、マン=マシンインターフェースのありかたなどについて検討を行ない、試験データを用いて構造の確認を行なった。 文献データベースにおいては、分散型の情報システムの作成を試みた。地理学の研究分野が広く、また、他分野との境界領域が多いので分野ごと、あるいは地域ごとのデータベースの分割によってより使いやすいデータベースシステムが実現される。INFORMIXを用いて約2万件の文献タイトルの入力を行なった。文献データベースの検索においては、シソーラスが不可欠であるが、この検討を行なった。 検索のキーとして地名が使用されるので、位置情報を持つ地名データベースの設計と試作を行なった。より詳細な情報に対するニーズが高いので小地域統計の作成方法について検討を行なった。また、歴史時代の気候を復元するための資料として、日記のデータベースの作成を行なった。
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