研究概要 |
第4音波による超流動ヘリウム3のサイズ効果の測定に関しては、測定結果をもとに解析を進め、サイズ効果をもたらすコヒーレンス・レングスξ。の値とその圧力依存性を初めて実験的に求め、理論的予測とかなりよく一致する結果を得た。このξ。はクーパー対のひろがりの程度を与えるもので、超流動相の基本的性質を考える場合に重要な役割を果たすものである。 bccヘリウム3ではbccの広いモル体積領域で転移温度、磁化の温度依存性を調べた。その結果、モル体積の小さい固体ではスケーリング則からわずかにずれることが判明した。また、解析より得られたワイス温度は従来得られている値の約1/2であり、これは最近のKirkらの実験値に一致している。 μK領域の開発と【^3He】-【^4He】混合液の新しい超流動相の探索に関しては、先づ長時間の安定な連続運転が可能でしかも振動発生を極力抑えた希釈冷凍機を完成させ、循環率500μmol/secの時の定常状態で混合室の到達温度2.9mKを得た。第一段のPr【Ni_5】の核ステージについては消磁テストの結果、当初の目標である〜1mK領域で十分な冷凍能力を有することが確められた。現在二段目の核ステージの製作を進めているが、これと並行して二段目のアルミニウムのヒートスイッチの改良も行う予定である。 液体ヘリウム3へのヘリウム4の溶解度に関しては、電極間隔〜2μmのキャパシターと低温で動作する閉止弁とを用いて、液体ヘリウム3中に含まれる極めて微量のヘリウム4の相分離を検出することができた。ヘリウム4を2,24,〜50,〜70,〜150,1620ppm含む液体ヘリウム3のそれぞれの相分離温度を調べ、従来の予測よりも溶解度が大きくなる傾向が見られた。
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