研究概要 |
多くのロボットは、広い作業空間を確保し、機能を高めるために多自由度の構造となっている。このようなロボットの運動能力を向上させ、より知的な作業を実現させるためには、ロボットに取り付けられたセンサーから得られる多次元の入出力情報をうまく利用した運動制御方式を考えなければならない。本研究では、そのような制御方式の一つの実現として、ロボットの運動の繰り返しを利用した一種の学習制御方式(Betterment Process)を提案する。この方式は、前回の試行時の応答と理想の応答の差(誤差)によって入力の波形を修正し、次回の試行時の応答を理想の応答に近づけるものである。この種の方法では、システムの入力と出力のみに着目してコントロールシステムを構成しているので、制御対象のダイナミクスを正確に推定する必要なく、理想出力パターンが得られるものと期待できる。 本年度は、ロボット運動の加速度,速度,位置の各々の誤差信号を組み合わせることによって入力を修正する種々のタイプのBetterment Processを提案し、各々のタイプについて誤差の収束性を数学的に証明した。(担当 有本)さらに、それらの方式を用いて実機のロボットを制御し、良好の実験結果を得た。(担当 宮崎)また、ロボット運動の位置と力を同時に制御する場合にも本方式を適用できることが示された。その際、力制御方向の位置と力には線形関係が成立すると仮定するが、その比例定数は未知である場合にも力と位置の理想パターンが実現できることを保証している。(担当 有本)この方式を実際に手先にカセンサーをもつ3自由度のロボットに適用し、研磨作業やグライディング作業などを通じてその有効性が確認された。(担当 宮崎)
|