研究課題/領域番号 |
60211008
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研究種目 |
特定研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鋤柄 光則 東京大学, 生技研, 教授 (20013162)
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研究期間 (年度) |
1985
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研究課題ステータス |
完了 (1985年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1985年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 半導体電極 / 有機薄膜 / センサー / 表面電導 |
研究概要 |
本研究は有機物の薄膜が気体分子を選択的に吸着したり、溶液中のイオンを特異吸着して表面電位が変化する現象を利用して、無機半導体に有機物薄膜を接合した系を用い、有機薄膜上の化学種の吸脱着による表面電位の変化を、無機半導体の表面電気伝導度および反応電流の変化として検出するセンサーを作製することを目的としている。 作用電極としてはn型Sn【O_2】-Nafion薄膜系を用いた。検出の選択性を賦与するために、Nafion中のプロトンを他の陽イオン、たとえば【Fe^(3+)】イオンに置換した。測定系は対極が白金、参照極がAg/AgClの三極セルを用いて行なった。 プロトンをキャリヤーとするNafion膜を用いた場合、この作用電極のフラットバンド電位は溶液のプロトン濃度と共に負にシフトした。その傾きは-60mV/pHであった。Nafion中の【H^+】を【Fe^(3+)】に置換した作用電極の場合は、プロトン濃度によってフラットバンド電位は影響を受けなかったが、溶液中の【Fe^(3+)】の濃度を変化するとフラットバンド電位は20mV/p【Fe^(3+)】の割合でアノード方向にシフトした。この系のフラットバンド電位がSn【O_2】の仕事関数に等しくなるときの【Fe^(3+)】濃度は、Cpzc=【10^(-4.4)】Mであった。以上の結果から、この作用電極におけるn型Sn【O_2】の表面電位はVs=20(mV)×log(C【Fe^(3+)】/Cpzc)+【V_x】-【V_w】と表わされることがわかった。ここで、【V_x】はSn【O_2】の仕事関数、【V_w】は作用電極の電位である。このことからまた、アノードバイアス下での表面電気伝導度はC【Fe^(3+)】/Cpzcの対数に比例することがわかる。作用電極の電位を負方向にシフトさせると反応電流が流れはじめる。表面電流をIs、反応電流を【I_R】とすると、1+(【I_R】/Is)はC【Fe^(3+)】と線型関係にあることがわかった。このように、両電流成分Isと【I_R】を同時に測定することにより、溶液中のイオン種の濃度を高精度かつ選択性良く求められることがわかった。
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