研究課題/領域番号 |
60211009
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研究種目 |
特定研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
瓜生 敏之 東京大学, 生技研, 教授 (80011005)
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研究期間 (年度) |
1985
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研究課題ステータス |
完了 (1985年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1985年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | ホール移動度 / 立体規則性 / ポリアクリレート / カルバゾール / ホッピング輸送 / ガウス型サイトエネルギー分布 |
研究概要 |
昨年度の研究によりラジカル重合によって得た、ポリ(2-N-カルバゾリルエチルアクリレート)は、ポリビニルカルバゾールに比べて10倍以上も高いホール移動度を示すことが分かった。このアタクチックポリマーは成膜性もよく取り扱いが容易である。本年度は種々の触媒を用いてアニオン重合を行った。このうちベンザールアセトフェノン〜エチルマグネシウムクロライド系の開始剤を用いると、アイソタクティシチーがほぼ100%の高立体規則性ポリマーを得ることを見出した。この立体規則性ポリアクリレートはキャスト法により丈夫なフィルムを与える。固体フィルムのX線回折パターンがら結晶性が高いことが分った。また発光スペクトルにはモノマー蛍光と、ポリマー末端が関与したと考えられる長波長の蛍光が観測されたが、ポリビニルカルパゾールでみられるエキシマー蛍光は観測されなかった。立体規則性ポリアクリレートのホール移動度は飛行時間法により測定した。測定には無定形セレン層を光電荷発生層として用いる2層形の試料を調製した。室温、2×【10^5】V/cmの電場でのホール移動度は1.7×【10^(-5)】【cm^2】/(V・sec)であり、アタクテックポリマーの値の約6倍であった。またこの値は今までに知られている光導電性高分子のうちで最高のものである。この結果は主鎖の立体規則性がキマリア輸送に対して重要な影響を与えることを実験的に示した最初の例である。この立体規則性ポリアクリレートの移動度の電場、温度依存性はアタクテックポリアクリレート同様巾δをもつガウス型サイトエネルギー分布をもつ局在サイト間のホッピング輸送モデルにより記述された。サイトエネルギー分布のない仮想的な系の移動度μοは 0.02【cm^2】/(V・sec)、δ=0.100eVと求まった。アタクテックでは0.012【cm^2】/(V・sec)、0.128eVであり立体規則性は2つのパラメーターの両方に影響を及ぼすことが分った。
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