研究課題/領域番号 |
60212011
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研究種目 |
特定研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岩佐 泉 東京大学, 理, 助手 (40125993)
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研究期間 (年度) |
1985
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研究課題ステータス |
完了 (1985年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1985年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 固体ヘリウム / 液体ヘリウム / 超音波 / 超低温 |
研究概要 |
本研究では、超低温において固体及び液体ヘリウムの超音波測定を行ない、ヘリウムの物性を研究することを目的としている。測定のためには、試料の冷却方法、温度の測定法、そして超音波による発熱を小さくおさえること等が課題となる。これまでに、発熱の小さい超音波自動測定装置を開発し、試料室を試作した。 超音波による発熱を小さくおさえるためには、パルス・エコー法でパルスの入射間隔を十分長くとればよい。しかし、従来のパルス・エコー法による超音波測定では、音速の測定自動化は困難である。音速と吸収の同時自動測定を行なうために、位相検波方式による超音波測定装置を開発した。この装置の特徴は、検波器において、参照波をπ/2だけ位相のずれた2つの波に分割して信号を位相検波することである。その結果、信号のサイン成分とコサイン成分とが同時に測定される。検波した波形は、いったんディジタルメモリーに蓄えた後、コンピュータに取り込み、エコーの位相と振幅から、音速と吸収の相対的な値を計算させる。この装置は一発の励起パルスで一回の測定を済ませるから、励起パルスの間隔を任意に長くとることにより、超音波による発熱を十分に小さくおさえることができる。 この装置の性能を調べるために、イオン結晶の音速・吸収の温度依存を測定したところ、音速の測定精度は所期の目標値を上回っているが、吸収については、予想外の大きな系統誤差があることがわかり、対策を検討中である。 試作した固体ヘリウム用の試料室は、これからクライオスタットに取付けて、リークテスト・冷却テストなどを行なう。今年度でほぼ測定の準備がととのったので、来年度は本格的に測定を行なう予定である。はじめに液体ヘリウムについて測定し、続いて固体ヘリウムについて測定する計画である。
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