研究課題/領域番号 |
60213013
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研究種目 |
特定研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
高橋 利宏 学習院大学, 理, 助教授 (60163276)
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研究期間 (年度) |
1985
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研究課題ステータス |
完了 (1985年度)
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配分額 *注記 |
4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1985年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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キーワード | 有機超伝導体 / 【(TMTSF)_2】【PF_6】 / 【(BEDTTTF)_2】【I_3】 / SDW相 / 圧力 / 磁気共鳴 |
研究概要 |
有機超伝導体における低温電子状態の圧力依存性を、磁気共鳴法を用いた微視的な立場から明らかにすることが、本研究の目的である。本年度の主な研究成果は次の通りである。 1.【(TMTSF)_2】【PF_6】の低温SDW相について、【^1H】-NMRの詳細な解析によりSDWの振巾、波数をはじめて決定した。SDW波数はバンド構造から期待されるフェルミ面のネスティングベクトルと実験誤差内で一致し、SDW機構についての理論的予測を裏づける証拠となった。又、SDW振巾は低温で8%【μ_b】/分子と決定され、その温度依存性を明らかにした。この値は平均場理論の予測より約3倍大きく、今後の問題を提起した。 2.同物質の【^1H】-NMR緩和時間の測定から、4Kに新しい相転移が存在することを強く示唆する異常を見出した。この転移の前後でSDW特性には大きな変化がないことが確認され、SDW相の内部構造という新しい側面についての検討が必要となった。 3.β-【(BEDTTTF)_2】【I_3】において100K以下のコリンが緩和の圧力依存性を調べた。この結果、電子系の状態密度が圧力下でもあまり変化しないことが明らかとなった。この事実は、圧力下での超伝導転移温度Tcの増大の機構を考える上での重要な知見である。 4.同物質において、195Kにおける超格子構造の発生に伴って、【^1H】-NMR線巾が増大する事実を見出した。これは、超格子がエチレン基の運動と密接に関連していることを示す。さらにこの振舞が圧力に極めて敏感であることが明らかとなり、Tc増大の機構との関連が注目される。 5.主要設備として新たに【^3He】減圧クライオスタット系を整備、0.35Kまでの測定が可能となった。これを用い、後述物質の超伝導転移を確認し、詳細な測定を開始した。
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