研究課題/領域番号 |
60214010
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研究種目 |
特定研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
名取 俊二 東京大学, 薬, 教授 (50012662)
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研究期間 (年度) |
1985
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研究課題ステータス |
完了 (1985年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1985年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | センチニクバエ / 貯蔵蛋白 / リセプター / エクダイソン / リボゾーム蛋白S6 / リン酸化 |
研究概要 |
センチニクバエ幼虫の体液中には、貯蔵蛋白とよばれる、分子量75000の蛋白が6量体を形成して高濃度に存在する。この蛋白は、蛹化の時期にすみやかに脂肪体へ取りこまれ、そこで成虫形成のためのアミノ酸源あるいはエネルギー源として使われる。この脂肪体の貯蔵蛋白取りこみ機構を研究した結果、(1)脂肪体細胞膜上に不活性の貯蔵蛋白リセプターが存在する。(2)この不活性のリセプターは蛹化と同時に活性化され、貯蔵蛋白の結合活性が生ずる。(3)この不活性型から活性型への変換に、変態ホルモンであるエクダイソンが、何らかの形で関与する。という三点を明らかにすることが出来た。そこで次に問題になるのが、変態ホルモンがこの反応にどのような形で関与するかということである。従って、本年度は、変態ホルモンが脂肪体にどのような影響を与えるかという点を、蛋白質のリン酸化という観点から追求した。その結果、センチニクバエ幼虫が囲蛹穀を形成しはじめ、体液中の貯蔵蛋白が脂肪体に取りこまれるようになる時期に、脂肪体中の分子量30000の蛋白が特異的にリン酸化される事実を見出した。貯蔵蛋白リセプターは蛋白でその分子量は不活性型が125000、活性型が120000である。従って、蛹化時にリン酸化される蛋白は貯蔵蛋白のリセプターではないが、そのリン酸化を受ける時期はリセプターが活性化される時期に一致しており、しかもそのリン酸化には変態ホルモンが関与することから、この蛋白(30-KDa蛋白)の性質を調べた。その結果、30-KDa蛋白のリン酸化は、シクロヘキシミド存在下に促進されること、(2)この蛋白は、細胞を分画するとリボゾーム分画に来ること、(3)SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動上で、リボゾーム40Sサブユニット中の蛋白S6と挙動を一にすること、の三点から、30-KDa蛋白はリボゾーム蛋白S6であると結論した。S6のリン酸化が、貯蔵蛋白リセプターの活性化と直接関係があるか否かについては今後の問題である。
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