研究概要 |
スペクトリン-アクチン-バンド4.1複合体は生理的イオン溶液中で30℃に暖めるとゲル化をおこした。このゾル-ゲル変換を遠心法により定量的に測定した。ゲル化は100〜600mM庶糖ではおこらず、イオン強度に依存していた。ゲル化の最大はKClでは50〜200mM,Mg【Cl_2】では50mM テトラメチルアンモニウムでは100mMであった。N-エチルマレイミドでの前処理はゲル化をほぼ完全におさえた。しかしながら4mM ヨードアセトアミドやヨード酢酸はほとんど影響しなかった。ゲル化の限界蛋白濃度は0.6mg/mlであった。ゲル化はpHの増加に平行して減少した。ゲル化の大きさは、【Mg^(++)】,【Mn^(++)】>【Ca^(++)】,【Ni^(++)】,【Zn^(++)】,【Sr^(++)】【Co^(++)】>【Cu^(++)】の順であった。【Mg^(++)】の存在ではゲル化は【Ca^(++)】に対して感受性を示さなかった、10mMATPはゲル化を少しおさえるが、2,3DPGはまったく影響しなかった。膜を安定化することがしられているスペルミンはゲル化を増大した。G-アクチンと1対1に結合するDNaseIはゲル化を阻害した。その阻害は筋肉のG-アクチンによって回復した。サイトカラシンDはゲル化に影響しなかった。F-アクチンに結合し、それを安定化するファロイジンは、KClやpHの増加に伴うゲル化の減少を阻害した。これらの結合はスペクトリンの2量体から4量体への変換及びアクチンの状態に依存していることを示している。 トリトンX-100で処理した赤血球膜はイオン強度の増加及び、pHの減少にともなって収縮した。このトリトン赤血球の収縮の性質は先に述べた複合体のゲル化の性質と似ていた。この結果はスペクトリン-アクチン-バンド4.1 複合体のゲル化は赤血球膜の収縮と関連していることを示唆している。
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