研究課題/領域番号 |
60214035
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研究種目 |
特定研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
広田 幸敬 国立遺伝学研究所, その他, 教授 (50000261)
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研究期間 (年度) |
1985
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研究課題ステータス |
完了 (1985年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1985年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | PBP-3 / リポ蛋白質 / ペプチド開裂 / ペニシリン結合蛋白質 / 膜蛋白質 |
研究概要 |
大腸菌のペニシリン結合蛋白質(PBP-3)は細胞分裂を行なう膜蛋白質であり、またβ-ラクタム系抗生物質の致死標的であるという、重要な生物活性をもった蛋白質である。 われわれはPBP-3の構造遺伝子、ftsIの全塩基配列を決定し、ftsIDNAからPBP-3をIn vitro合成させることに成功した。その結果、ftsIのコーディング領域は1762塩基対からなり、それがコードしてデきるPBP-3分子は、全588アミノ酸残基を含み、その分子量は63.8Kであることをあきらかにした。 このPBP-3はリポ蛋白質である。まずその前駆体(P1)として合成される。P1の30番システイン残基がグリセリド修飾をうけた後に29番グリシン残基との間でペプチド開裂をうけ、さらにそのN【H_2】基が脂肪酸修飾をうけて成熟PBP-3(M)となることを発見した。しかもこの反応過程はP1-PBP-3が内膜を通過するトランス・ローケーションの過程を共 して行われる。そのハーフ・ライフは2.5分〜3分であった。この過程はsecAとsecY遺伝子産物に上るトランス・ローケーションをうけて成熟し、その作用を発現することを見出した。この反応過程は抗生物質、グロボマイシンによる阻害をうけないことを発見したが、これはブラウンのリポ蛋白質のプロセシング反応と異るシグナルペプチデースによって行われることをしめした。 さらにPBP-3分子とペニシリン分子との分子反応の過程を明らかにした。すなわちPBP-3の307番のセリン残基の-OHがペニシリンと反応する活性中心で、ペニシリンと-CO-O-Serの共有結合がつくられることを明らかにした。以上の結果は、307番セリンをヌクレオタイド・ディレクテッド・サイトスペシフィッ・ミュタジェネシスによって、307番スレオニン、あるいは307番アラニンで置換した変異PBP-3はペニシリン結合活性を失い、その機能も失う結果と、完全に一致する。
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