研究課題/領域番号 |
60215007
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研究種目 |
特定研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岡本 治正 東京大学, 医, 助手 (40134283)
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研究期間 (年度) |
1985
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研究課題ステータス |
完了 (1985年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1985年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 神経系初期発生 / 分化マーカー / 単クローン抗体 |
研究概要 |
脊椎動物における神経系初期発生過程は形態的には嚢胚期の神経板誘導に始まる。この時中軸中胚葉に裏打ちされた外胚葉部分は未同定の情報変換分子(受容体)を介すると推定される前者の影響下に細胞配列の再構築を行い神経板を形成する。本研究の目的はこの神経系初期発生決定過程を分子レベルで理解する事にあるが、従来この種の解析の困難な理由の一つとして、組織特異的な分化マーカーの少い事があげられる。本研究ではアフリカツメガエル胚を材料として、各分化マーカーを定量的に同定しうる7種の単クローン抗体を調製した。 1.神経組織に親和性を示す抗体としてNM1.N12種が得られた。前者は筋組織にも結合したが、後者は神経組織に特異的であった。両抗体の神織組織内での結合部位は明らかに異なり、NM1抗体は各種軸索に高親和性を有するのに対し、N1抗体は樹状突起に関連する構造物に結合するものと思われた。又両抗体について孵化期st.37/38で頭尾軸に沿って抗原分 を比較してみると、NM1抗原の方がより広範囲にわたって存在し、この抗原が尾芽期st30で、N1抗原(心拍開始期st.34に出現)より先に検出されるという知見に対応するものと思われた。事実後者はその後の発生段階で、頭尾方向に沿ってその存在範囲が拡大して行く事が明らかとなった。 2.上記の他に、E1、2、3、各抗体は表皮細胞に、又Mμ1、NC1抗体はそれぞれ筋細胞、神経冠由来色素細胞に特異的に結合する事がわかった。又結合活性の出現時期は、E1では神経板が誘導された直後のst13、又E2、3ではそれぞれ初期神経管期st19、20、又Mμ1ではst20、NC1では尾芽期st30であった。 以上より、上記7種単クローン抗体の組織特異性、又発生段階特異性が明らかとなり、各抗体は各種組織に特異的な分化マーカーの同定に有用である事が結論された。
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