研究課題/領域番号 |
60215009
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研究種目 |
特定研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岡田 泰伸 京都大学, 医, 講師 (10025661)
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研究期間 (年度) |
1985
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研究課題ステータス |
完了 (1985年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1985年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 細胞融合 / 膜融合 / 雑種細胞 / 電気的信号 / 電気的膜離断 / パッチ電極法 / カルシウムイオン / マグネシウムイオン |
研究概要 |
パルス通電法による細胞融合法は、細胞融合・膜融合メカニズムの研究に一つの有効なモデルを提供する。また同時に、雑種細胞などを大量にかつ一挙に得る手段としても有効であり、その汎用化が強く望まれている。哺乳動物細胞を交流電場による誘電泳動下において接着させ、直流パルス通電を行ない細胞融合を実現させるには、細胞外液中における【Ca^(2+)】の存在が不可欠であることは以前明らかにした通りである。加えて、細胞内【Mg^(2+)】イオンの存在も不可欠であり、もしこれを適当な操作により除去すると、細胞外液中への【Mg^(2+)】の添加が不可欠であることが明らかとなった。このように高収率の細胞融合の達成には細胞外への適量の二価陽イオンの添加が必要であり、これにより細胞外液の電気伝導度が不可避的に上昇し、出力インピーダンスの高い通常のパルス通電装置では細胞を融合に到らしめるに十分な高電圧(KV/cmオーダー)の印加が困難となる。また、大量の融合細胞を一挙に得るためには電極間隔を広げる必要があるが、これによって更に大きな出力電圧がパルス発生装置に要求されることになる。そこで本年度は、これまで使用してきたブースターアンプにかわり、パルス・トランス方式を用いた高電圧パルス発生装置(最大出力直流電圧12KV,出力抵抗200オーム)を開発・製作し、大容量チェンバー中で多量の融合細胞を一挙に得ることに成功した。更に本年度は、ギガ・シール・パッチ電極法によるwhole-cell recordingを2細胞で同時に行ない、これらを機械的に密着させた後に、細胞内よりパルス通電を行ない細胞融合を実現させることを試みた。技術的には多くの困難があったが、数例の成功を見て2細胞間に電気的カップリングが得られた。しかしながら形態的に単一の球状細胞に到るダイナミックな過程をその後伴うことはなく、細胞融合のダイナミズムには電気的膜離断以外の因子が関与している可能性が示唆された。
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