研究課題/領域番号 |
60217006
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研究種目 |
特定研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
久野 宗 京都大学, 医, 教授 (50142295)
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研究期間 (年度) |
1985
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研究課題ステータス |
完了 (1985年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1985年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | ラット / 運動ニューロン / 細胞死 / 軸索切断 |
研究概要 |
最近、新生ラットの坐骨神経を切断すると一ヶ月以内に腰髄の多数の運動ニューロンが死滅することが報告されている。本研究はこのような条件下で見られる運動ニューロンの細胞死が、軸索の損傷に由来するのか、あるいは、標的器官である筋肉からの分離に由来するかの検討を目的とする。ラットの下肢の、medial gastrocnemius(MG)筋を支配する神経を生後4日目に切断した。切断された神経は術後6日には筋の機能的再支配を開始し、術後15日にはその神経刺激による筋収縮は最大値に達した。この筋収縮は、正常側の神経刺激により筋収縮の約75%であった。術後1ヶ月に術側と正常側のMG神経にHRPを適用し、逆向性に標識されたMG運動ニューロンの数は、術側が正常側の77%であった。生後4日に一側のMG神経を切断し、その筋再支配を阻止して一ヶ月後にMG運動ニューロンをHRPを用いて標識すると、術側の数は正常側の18%であった。したがって、(1)新生ラットの軸索切断による運動ニューロンの細胞死は軸索の傷害自身によって誘発されるのではない。また、(二)軸索切断後に見られる運動ニューロンの生存と死滅は、切断神経の筋の再支配の有無に依存する。 軸索切断後、筋の再支配を阻止した時に死滅する運動ニューロンの数を術後の時間を追ってHRP法によって検討した。細胞死は生後4日の術後2週から3週間の期間に限局していた。生後4日に筋神経を切断し、その筋再支配を許した場合と阻止した場合を比較すると、いずれの場合も、術後10日までは運動神経の興奮の伝導能力の低下が同様に見られた。この結果から、軸索切断後は全ての運動ニューロンが細胞死に至る反応を示し、この期間中に筋を再支配した運動ニューロンのみがこの反応の進行を停止して正常の性質を再び獲得すると推測される。
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