研究概要 |
アルツハイマー病(AD)脳よりこの病変に関連すると思われる不溶性蛋白質の分離精製、ならびに生化学的検策を試みた。 1.不溶性蛋白の可溶化条件の検討 (1)90%ギ酸抽出 脳より生理食塩水、コラゲナーゼ処理、1%SDS処理により可溶画分を完全に除去した試料を、90%ギ酸中で4℃24時間保ち、その後15000rpmで可溶画分を分離した。この処理で約15%が可溶化された。不溶性画分はさらにCNBnで酸化解裂を行い可溶化を試みた。この処理では約60%が可溶化された。それぞれの画分の蛋白成分を、SDS-disc電気泳動で分析したところ、前者からは高分子成分以外に約5Kの成分が得られ、また後者からは、高分子成分以外に70K,55K,30K,20K成分が得られた。 (2)エチレンジアミン水酸化第二銅抽出 6%エチレンジアミン水酸化第二銅(EDCU),pH13.5溶液で、不溶画分を4時間処理し、沈心上清を蒸留水に透析したのち凍結乾燥した。SDS-disc電気泳動で検策したところ、高分子成分子成分の他に、70-40K領域および5K成分が認められた。抽出効率は良好であった。 2.可溶画分の精製およびアミノ酸分析 (1)TSK3000SWによる高速液体クロマトグラフィー(HPLC) ギ酸およびEDCU可溶画分を8M尿素溶液中でHPLCを行ったところ、電気泳動パターンと類似の画分が得られた。 (2)H3013による逆相HPLC (1)で分画されたそれぞれの画分をさらに高度に精製するため、HPLCを利用した。ギ酸可溶画分からは7種類の、またEDCUPK【II】からは4種の成分が得られた。アミノ酸分析の結果いづれの画分も、酸性アミノ酸およびグリシン、バリン、ロイシン含量が高かった。
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