研究概要 |
視床下部諸神経核におけるペプチドニューロンとアミンニューロンとの機能的関連性について研究を進めているが、今回は【◯!1】視交叉上核に分布するペプチドニューロンに対する入力関与と【◯!2】脊髄灰白質に分布するサブスタンスP線維終末の分布、特に腰髄前角に分布する終末の性差について観察を行った。 方法:ラットを用い【◯!1】については下行性セロトニン線維の選択的破壊は5,6-dihydrcxytryptamine(5,6-DHT)の内側前脳束への注入により行い、視交叉上核のペプチドについてはVIP及びバソプレシンを対象としてそれぞれの抗血清を用いPAP法による免疫細胞化学法により行った。【◯!2】についてはサブスタンスPの抗血清を用い上記と同様免疫細胞化学法により行うと共に、腰髄前角ニューロン支配域とそのニューロンへのサブスタンスPの入力関係についてはHRPの陰部大腿神経への注入による逆行輸送と免疫細胞化学法の併用を行った。結果及び考察:【◯!1】については、セロトニン線維終末は視交叉上核の腹側部に密に分布しているが、この線維の破壊により、視交叉上核腹側部に分布するVIPニューロンの免疫陽性反応が著しく減弱した。しかし背内側部に分布するバソプレシンニューロンについては全く変化は認められなかった。この結果より下部脳幹より視交叉上核へ投射するセロトニンニューロンは の産生、細胞内輸送に強く関与し日内リズムの維持などに対し影響しているものと考えられる。【◯!2】については、サブスタンスPの脊髄での分布は一般的には後角の表層に密に終末分布が後角、側角に細胞体の分布が認められる。また、胸、腰髄側角中間質外側核の交感神経節前ニューロンの周囲にも終末が認められる。今回、前記の領域以外に腰髄第1、第2分節の前角細胞の周囲に雄性ラットでは非常に密な雌性ラットでは非常に疎なサブスタンスP線維終末の分布が認められた。この前角細胞は雄では挙睾筋を支配している事が明白だった。
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