研究課題/領域番号 |
60217015
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研究種目 |
特定研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
木村 実 自治医科大学, 医, 講師 (40118451)
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研究期間 (年度) |
1985
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研究課題ステータス |
完了 (1985年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1985年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 大脳基底核 / 被殻 / 運動プログラム / 運動の制御 / 随意運動 |
研究概要 |
1.目的 大脳基底核は随意運動の神経過程に関与すると考えられているが、その神経機序は明らかではない。 サルのオペラント条件づけを用いた被殻のニューロン活動を調べる実験から、現在までに次の事実が明らかである。 被殻には、(1)持続的な自発放電をし、運動開始のための手がかり刺激に応答するが、刺激によって運動反応が誘発されない時には応答も消失する【I】型細胞、(2)自発放電は少いが運動に同期して相動的な活動をする【II】型細胞とがある。 本研究では【II】型細胞が運動と無条件に関連して活動するのか、または【I】型細胞のように特定の行動条件に限って活動するのかを明らかにすることを目的とした。 2.方法 (1)サルのオペラント条件づけ:日本ザルを訓練して感覚刺激によって(光ランプと音)、腕と口の反復運動を行わせた。 (2)ユニット記録:ガラス被覆のエルジロイ電極を大脳を通して被殻に刺入し、単一ニューロンの活動を記録した。 3.結果と考察 ユニット記録後その部位で微小電気刺激を行い、記録された細胞がどの体部位を代表する部位にあったかを確認した。 72個の【II】型細胞を腕の領域より、58個の【II】型細胞を顔と口の領域より記録した。 これら130個の【II】型細胞の65%の細胞は感覚刺激で誘発される腕や口の反復運動に先行して1回だけ相動的な活動をしたが、反復運動中には活動しなかった。 一方、残りの35%の細胞は反復運動に1対1対応で活動した。反復運動に先行して1回だけ活動する細胞は運動の方向、速度や力などのパラメータの制御に関与するとは考えられず、特定の感覚刺激と対応して学習された運動をいわば条件反射のように自動的に行うことに関与する可能性が新しく示唆された。 反復運動に1対1対応で活動する細胞は筋活動より遅れて現われたので、Delongらの主張と一致して運動指令の随伴発射を受けて運動をモニタするのに役立つのかも知れない。
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