研究概要 |
1.IL-2-R遺伝子配列をATL細胞株と正常組織ゲノム間で比較、構造遺伝子及び5′プロモーター領域に異常を認めず。 2.ヒトNK細胞株YTと、HTLV-I(+)T細胞株EDのIL-2-R遺伝子発現へのIL-2、ADFの効果を検討した。IL-2-RmRNA量は、IL-2、ADFのいずれによっても増加したが、両者の存在下で最大の発現を示した。IL-2ではmRNAの増加に反して、YT細胞の細胞表面のIL-2-Rは強くDown-regulateされる。YT細胞では高親和性IL-2-Rの割合が高く、かつ高親和性IL-2-Rが低親和性IL-2-Rに比べて5〜10倍速い速度でプロセスされる事に起因すると思われる。 3.ADFでの刺激後1時間以内に一過性のC-Mycの発現増強が見られ、それに続発して3〜4時間でIL-2-RmRNAの増加が起きる。 4.PMAでもIL-2-RmRNAの増加が起きるが、IL-2、ADFでの場合と異なりIL-2-R分子のリン酸化を伴う。またYT細胞ではadenylate cyclaseを直接活性化するforskolinでもIL-2-RmRNAの増加が認められる。 【^(125)I】-IL-2の結合試験により、ADFやforskolinにより誘導されるIL-2-Rは高親和性、他方PMAによる誘導では低親和性レセプターが多い事が確認された。IL-2-R細胞質内ドメインのセリン残基のリン酸化がIL-2-Rの機能を修飾する事が示唆された。 5.ATL-2細胞株の無血清培養上清を濃縮、ゲル瀘過、Red-Seph、更にHPLCシステムでのDEAE,RPC,HPHTカラム等を用いてADFを精製した。ADF遺伝子の同定のため、精製ADFのN末端アミノ酸部分配列を解析し対応する合成ヌクレオチドプローベを作製、ATL細胞株のcDNAライブラリーでスクリーニング中である。 6.IL-1α、βにもIL-2-R誘導活性が確認されたので、蛋白、遺伝子レベルでADFとの異同を検討中。
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