研究課題/領域番号 |
60218029
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研究種目 |
特定研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
藤永 けい 札幌医科大学, 公・私立大付置, 教授 (10045338)
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研究期間 (年度) |
1985
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研究課題ステータス |
完了 (1985年度)
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配分額 *注記 |
9,500千円 (直接経費: 9,500千円)
1985年度: 9,500千円 (直接経費: 9,500千円)
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キーワード | アデノウイルス / E1A遺伝子 / E1B遺伝子 / ras遺伝子 / myc遺伝子 / DNAトランスフェクション / ヒト癌遺伝子 |
研究概要 |
本研究は、ウイルスおよび細胞性癌遺伝子あるいはそれらの変異遺伝子を導入した各種ゲノム改変細胞株を樹立し、これを用いて新しい癌遺伝子の単離を試みると同時に、ヒト癌の発生機序をさぐることを目的とする。本年度は前年度に引き続いてゲノム改変細胞株の樹立と、これを用いて癌遺伝子の単離実験を行ない、以下の成果を得た。 1)活性型ras遺伝子によるアデノウイルス4型癌遺伝子導入細胞のトランスホーメーション:ヒト膀胱癌由来の活性型ras遺伝子を、アデノウイルス4型癌遺伝子導入細胞(4CY4-3)にトランスフェクトすると、明確なフォーカス形成を示し、フォーカス由来のトランスホーム細胞は完全なトランスホーム形質を示した。クローン化した正常c-Ha-rasやLTRを連結したクローン化正常c-Ha-rasは4CY4-3細胞にトランスホームフォーカスを形成しなかった。 2)アデノウイルスE1B遺伝子導入非トランスホーム細胞株の樹立:機能的なアデノウイルス12型E1B遺伝子を導入した一連の非トランスホームラット3Y1細胞株を樹立した。このうちいくつかの細胞株は、アデノウイルスE1A遺伝子やLTRを連結したマウスC-myc遺伝子によってフォーカスを形成したことから、myc型ヒト癌遺伝子の単離に使用できると考えられる。 3)アデノウイルス癌遺伝子導入細胞を用いたヒト癌遺伝子単離の試み:絨毛癌、肺癌、骨肉腫由来の癌細胞DNAを抽出しサザーン法で癌遺伝子の再編成や増幅の有無を調べたところ、肺腺癌転移巣の1例と骨肉腫の1例にそれぞれN-mycとC-mycの増幅が、別の骨肉腫の1例にc-erbB遺伝子の再編成が見い出された。これらの癌細胞DNAをアデノウイルス癌遺伝子導入細胞にトランスフェクトすることによって癌遺伝子の単離を試みている。出現したいくつかのフォーカスから細胞DNAを抽出し、トランスホーム活性の起源を検討中である。
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