研究概要 |
昨年に引続き、多くの施設の協力のもとに日本人肝癌の症例を集めHBV DNAの組込みの頻度と、組込みの様式を検討した。現在までの検索で、キャリアから発生した肝癌には高率(25/30=83%)にウィルス組込みがあり、非キャリアから発生した肝癌には極く低率(5/93=5%)にのみ組込みが認められる。 組込みのある症例で、果して組込みが発癌にとって積極的な意味があるかどうかが問題である。発癌にとって意味のない組込みも多いと考えられるので、本年は我々の集めた123例中、たった1ヶ所のみにウィルス組込みのあった症例につき、組込みの部位をクローニングし、解析した。現在までに3例のクローニングと解析が完了した。 組込まれたウィルス(【C_1】,【C_3】,【C_4】)は、【C_1】では欠損があり、【C_3】は完全に近く、【C_4】は完全なウィルス2分子が逆位になっている。共通していることは、ウィルス内部の複雑な組替えは認められないということである。
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