研究概要 |
ラネ-ニッケル(R-Ni),パラジウム炭素(Pd-C),白金炭素の水素化触媒粉末を沈積状態で電極とし、以下の有機物の電解触媒還元反応を通常の接触還元法と対比しながら実施した。 1.共役不飽和カルボニル化合物の選択的還元反応 1-シクロヘキセン-2-オン、メシチルオキシド、trans-シンナムアルデヒド、P-ベンゾキノンに対し両法の還元反応を行い、実験を完了した。両法で還元反応の選択性に著しい相異は認められなかったが、電解接触法ではシンナムアルデヒド(選択率57%)以外では選択率100%で炭素一炭素二重結合が還元された。 2.p-ニトロアセトフェノンの選択的還元反応 選択率83%、電流効率80%でPd-Cを用い電解還元された。副反応物はアゾおよびアゾオキシ体と推定された。R-Niの場合は1-(p-アミノフェニル)エタノールも多く生成し目的物の選択率は43%であった。接触還元法でも類似の還元選択性を示した。 3.フェニルアラミンの製造 ベンズアルデヒドからベンザルアズラクトンおよびベンザルヒダントインを経由するフェユルアラニンの製造を検討した。R-Niの電解触媒還元反応はアルカリ水溶液中で反応が円滑に進行するため、電解終了後の反応液を煮沸することにより one-pot反応で、ベンザルアズラクトンから選択率70%、電流効率47%、ベンザルヒダントインからそれぞれ74%、64%でフェニルアラニンを生成した。この結果は接触還元法より良好であった。 4.触媒表面上の活性水素量の評価 3気圧、常温でのR-Ni上の活性水素は8×【10^(-4)】mol/【dm^3】、電流密度1.6A/【dm^2】でのR-Ni上のそれは1×【10^(-2)】mol/【dm^3】と計算され、電解法R-Ni触媒上の活性水素量は通常の接触法R-Ni上のそれの約800倍となり、電解法の特長が評価された。
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