研究概要 |
1.1,1,2-トリメチルトリクロロジシラン【1!〜】のt-ブチルリチウムまたはネオペンチルリチウムによるアルキル化は、位置特異的に1-位に起こるのに対し、フェニルリチウムによるフェニル化は1-フェニル化体と2-フェニル化体を85:15の割合で、また臭化フェニルマグネシウムによるフェニル化は両位置異性体を40:60の割合で与えることがわかった。各異性体を特異的に与えるフェニル化条件を探索した結果CuIを触媒とするグリニャ反応で2-フェニル化体のみがほぼ位置特異的に得られた。しかし、1-フェニル化体の生成については、85%以上の選択性を実現する試みは不成功に終った。 2.上で合成した1,2-ジクロロ-1-t-ブチルトリメチルジシラン【2!〜】および1,2-ジクロロ-1-ネオペンチルトリメチルジシラン【3!〜】をLi/THF及びNa/トルエンにより縮合すると、いづれのジシランもLi試剤では低分子量シクロポリシランを、Na試剤では高分子量ポリシランを与えた。また、この場合、低分子量シクロポリシランはシクロペンタシランおよびシクロヘキサシランの混合物であることが、元素分析その他の手法による生成物の構造解析により明らかとなった。一方、【1!〜】のPhLiによるフェニル化を合成スケールで行なって得た生成物は1,2-ジクロロ-1-フェニルトリメチルジシラン【4!〜】と1,1-ジクロロ-2-フェニルトリメチルジシラン【5!〜】の71:29の混合物であったが、これをNaで縮合してポリマーAを、【1!〜】のCuI接触グリニャ反応で得た【5!〜】(99%Pure)を同様にしてポリマーBを調製した。これらをWestのポリシラスチレン標準試料Cと共にGPCで数平均分子量を比較測定し、AおよびBのMnとして75×【10^4】および50×【10^4】という値を得た。ただし、これらの値はポリマーCを基準とするものであって、ポリスチレン基準とする値はそれぞれ0.13×【10^4】および0.09×【10^4】であり、正確な分子量は未確定である。今後はこれらの物性評価をより精密に行う予定である。
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