研究概要 |
1.従来全く不可能であった、超高圧領請での微少鉱物試料を用いた弾性波速度の精密測定の丞術を完成させた。現在は、15GPa程度までの高圧領域までの測定が可能である。4GPa程度までの圧力領域ではピストン-シリンダー型高圧装置を用い、液圧下での測定が可能になった。それより高い圧力領域では、分割球型高圧装置を用いて測定を行う。 2.測定用の電子装置をはじめ接地回路その他の改良により測定系の雑音を極力少なくすることに成功した。その結果、直径2mm,長さ2mm程度の微少試料の弾性波速度の測定が可能になった。 3.この種の測定には、高速大振幅のパルス発生器が必要である。必要な性能は一振幅 100V程度、パルス幅 100nsec以下、等である。この程度の性能を持ったパルス発生器は市販品もすくなく、且高価である。本研究では、最近開発された比較的安価な電界効果トランジスターを用い、必要な性能を持つパルス発生器の開発に成功した。 4.本研究の最大の眼目の一つは、マントルの遷移層を構成していると思われている高圧鉱物、即ち、β-スピネル、輝石-ざくろ石固溶体の弾性波速度を、マントル遷移層と同程度の圧力下で測定する事である。そのため、まず上記二種の高圧鉱物の合成を試み、弾性波速度測定が可能な程度の大きさの試料を得ることができた。 5.本研究では、(イ)輝石-ざくろ石混合物、(ロ)高圧下で合成した輝石-ざくろ石固溶体、(ハ)かんらん石、(ニ)β-スピネルの四種の鉱物について、その弾性波速度を、15GPaまでの高圧下で測定する予定である。本年度は、まず、4で記したごとく、(ロ)と(ニ)の合成に成功したので、その弾性波速度の測定を試み、8GPaまでの測定に成功した。
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